BABYMETALに見た陰陽の面白さ
同じ素材やコンテンツでも陽の視点で見たり、陰の視点で見ると全く違うものになる。
BABYMETALワールドツアーファイナルとなる神戸のライブに参加しながら、その意味が自分の中に響いてきました。
2018年のBABYMETALはこれまでの輝いていた陽のイメージを封印して、陰のイメージで演出されたダークサイドのコンセプトで始まった。
セットもメンバー構成も本人たちの衣装やメイクも、これまでの可愛いカッコいいイメージとは真逆で、ひたすらダークで、重厚な世界を作り出していた。
新曲もあるけど、これまでの曲もダークサイドイメージで披露されると、同じ曲なのに全く違う印象に感じてしまう。
悪くなったのではなく、逆に新たな境地を見てしまったというか、全く新しいもののように見えたのだ。
これまで普通に表現したもの、あたりまえのように表現したものを環境を真逆に変えることで、同じものが生まれ変わる。
リデザインどころの話ではなく、同じなのに全く別物のような。
これは私にとって、大きな発見であり、表現手法の妙として大きな刺激を受けた。
信念強く貫き通せばそれが常識になる
密教の世界にも陰陽に通じる金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅というものがある。
これも描き方が全く違って興味をそそられる。
しかしどちらも仏教の精神性や世界観を伝えていることには違いはなく、表現方法が違うだけだ。
表現が違うと使われ方も違う。
胎蔵界曼荼羅は密教の宇宙を人々に広報する役目を担い、金剛界曼荼羅は密教の教えを修行する人の内面に伝え、自問自答しながら自己研鑽する役目を担っている。
仏像においても大日如来と不動明王が表裏一体のものとして表現されています。
このように同じモチーフを類似した世界観で描くのではなく、陰陽の全く逆の世界に置くことで新しいものが生まれ、そこに生きることができるという可能性がとてもおもしろい。
これは表現としてはかなり冒険になると思うけど、ぜひとも近いうちに挑戦したい。
それにしてもBABYMETALは、よく踏ん張ってダークサイドを貫いてライブしたなぁと、その強さに感服します。
最初は私自身も、これは失敗じゃないのか?と思ったぐらいに違和感があった。
ファンの間でもあまり歓迎されていなかった。
それにも関わらずこのスタイルを貫き通し、見事にツアーを完了させた信念の強さは見事としか言いようがなく、新たなBABYMETALの世界を構築させたと言えるだろう。
私も作品の世界観を作り出す者として、そうありたいと思った。