JR甲南駅の南に500年以上の歴史を持つ古社があります。
参道で最初に目に飛び込むのが、新宮神社の南に立つ新宮神社の楼門です。
地元では「新治の楼門」の名で親しまれているという。
和歌山熊野大社の御霊が宿る新宮神社
楼門は、1485年室町時代に建てられたとても立派な建造物です。
国の重要文化財の指定も受けています。見上げるとかやぶき屋根の葺き替えも何年かに1度は行われてているようでまだ新しいことがわかります。
町のはずれにある小さな神社ですが、新宮神社の創建は奈良時代の天平4年(732)に紀州熊野大社(和歌山県)の分霊を勧請したのが始まりとされます。
新宮神社と聞いてすぐに熊野をイメージしていたので、やっぱり関係があったのかと納得しました。
境内に入ると拝殿の奥には立派な社殿が並んでいました。
しかし、どこか妙です。
社殿はきちんと管理されていないのだろうか、所々に建造物が破損している箇所があります。
柱の彫刻も腐って朽ちているところが何カ所もありました。
ここはそんなに環境的に厳しいところでは無いはずなので、木が腐って崩れていたり、扉に大きな穴が開いていたりと、破損箇所がそのままになっているのが気になります。
すぐ南にある楼門がとても立派なだけに「なぜ?」という印象が残りました。
このまま朽ちていくのかな…。それとも地域資本が困窮しているのか?
境内にある狛犬が、子犬のような愛らしい姿で迎えてくれたのが救いだったかな。
しかし明治より昔はとても賑わった神社のようです。
往時は矢川神社(旧甲南町森尻)、日吉神社(旧水口町三大寺)と共に杣三社大明神に数えられた周辺地域の大社で、新宮郷9ヶ村の鎮守として広く信仰されそうです。
古くから神仏習合の地として、別当寺院に新宮寺(福寿院)が祭祀を司り「新宮大明神」などと称されていました。
しかし明治時代初頭に発令された神仏分離令により、仏教色が一掃され現在の社号である「新宮神社」に改められ、村社に列しています。
●新宮神社の概要
所在地/甲賀市甲南町新治
御祭神/伊弉冉尊(イザナミノミコト)
配祀神/速玉之男命(ハヤタマノオノミコト)、天之忍穂耳命(アマノオシホミミノミコト)
由緒/創建時は旧倉治村熊尾にあり、延暦年間(782~806年)に現在地に遷座し、長和2年(1013)に伴光常が鹿島神宮(茨城県鹿島市)の分霊を勧請。
さらに承応年間(1652~1655年)に勝手大明神(矢川神社の境内に鎮座し、その後、旧龍法師村に遷座し、さらに、当地に再遷座したとも。)を勧請しました。
元亀2年(1571)に兵火により大きな被害を受けましたが天正2年(1574)に再建されています。
現在境内に鎮座する社殿が、それぞれ
一之宮(祭神:伊弉冉命、安永6年:1777年建築、三間社流造、銅板葺、正面千鳥破風、桁行2間4尺、正面1間軒唐破風向拝付)、
二之宮(祭神:速玉之男命、享保6年:1721年建築、三間社流造、銅板葺、正面1間軒唐破風向拝付)、
三之宮(祭神:天之忍穂耳命、寛政4年:1792年建築、三間社流造、銅板葺、正面1間向拝付)
であわせて新宮神社と称されました。
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