京都府北部、丹後半島の付け根の日本海の宮津湾にある『天橋立』は、陸奥の『松島』・安芸の『宮島』とともに、日本三景の一つといわれる観光名所。
いつか訪れたいと思っていたが、数年前まで外国人観光客が多すぎて敬遠していました。2021年はコロナウイルスの影響もあり静かに観光できるのも今ぐらいしかないと思ってやってきました。
8月の海水浴シーズンにも関わらず、平日のせいかほぼ地元の人とたまにすれ違うぐらいで、ほとんど人の姿はありませんでした。
天橋立といえば松並木が有名です。でも眺めているとほとんどの松の木が斜めに立っています。海風か台風などの影響なのだろうか?と思っていたらそうでもなく、案内板によればこの土地の特性で根が浅くて非常に倒れやすいとのこと。あと、松が多いのも植生の成り立ちが初期段階にあり、やがて広葉樹との混合林へと自然に変化していくのだという。
境内に舞う龍の姿に感動する
天橋立神社は天橋立大明神とも呼ばれています。ここは天橋立の濃松(あつまつ)と呼ばれる所です。
すぐ近くに磯清水と呼ばれる井戸があることから、昔は磯泉神社とも呼ばれていたそうです。
神社の外観はこじんまりとした素朴な感じで、石材でできた鳥居に一礼をして社殿の前に進みます。
おや?と最初に目についたのは正面に取り付けられた鈴緒です。
鈴が結ばれた縄の飾りつけの形が実にユニークで、まるで龍が宙を舞っているように見えます。
龍を意識しているのか?本当のところが気になります。
名水100選にも選ばれている磯清水は、周りがすぐ海に囲まれているにもかかわらず真水が湧いていると言う。ただし飲む事はできないそうだ。不思議な水なので神聖な気持ちで手を洗うのがいい。
磯清水 磯清水 は飲むことはできません
それから忘れてはいけないのが、この天橋立神社の最初の入り口となる鳥居は、海のすぐそばにあることです。神社からまっすぐに薄暗い森の中を進んでいくと海に面した鳥居が現れます。
この鳥居から覗く海も美しいですが、逆に海側から鳥居の向こうに見える天橋立神社はとても神秘的です。
美観優先の自然風景に違和感を覚える。これは逆に環境破壊では? 神様が望む天橋立の姿とは?
私は今回初めて天橋立を訪れ、南から北へと歩きながら、昔の風景はどんな感じだったんだろうと思いを馳せました。
昔から景勝地であり、今も風光明媚な観光地ではあるけれど、全体的に隅々にわたって整備されすぎてて、私には「人工的に作られた風景」という印象が強くてあまり心が湧き踊るような感動はほとんどなかったです。
「天橋立を世界遺産に」と言う看板を見ましたが、ここまで人工的に観光地化されたところは難しいのではないかと思う。
歩いていて最も違和感を感じたのは、松の倒木や落ちた枝が1本も無いことです。たぶん風光明媚な天橋立という景勝地を維持するために、倒れた木や枝を見つけるたびに全て撤去しているんだと思います。観光客の目に入らないように迅速に。でも、その行為がとても不自然な風景に感じてしまうのです。
もう少しあるがままの姿を残して見せることも、天橋立を語るうえで大切なことではないでしょうか。
●天橋立神社の概要
所在地/京都府宮津市文珠天橋立公園内
ご祭神/祭神は明治の前後で異なり、社殿が三社存在した明治以前は、中央に豊受大神、左に大川大明神、右に八大竜王(海神)を祀っていたとされ、明治以降(現在)は、伊弉諾册命(イザナギ)を祀っている。
●天橋立の概要
全体が外洋に面さない湾内の砂州としては、日本で唯一のものとされてたいへん珍しい地形。
一帯には松林が生え、東側には白い砂浜が広がる。
この松は、大部分が自然発生的に生えたもの。
また天橋立には「日本の道100選」に選定された京都府道607号天の橋立線があり、業者の車両が通り、時間指定で125㏄までのバイクが通ることができる。
※できることなら車両は通行不可にしてほしい。
天橋立は延長約3.2キロメートル、幅員3.5-12.1メートルで、近畿自然歩道に指定されている。
片道歩いて約50分ぐらい。