秀多の悩み「切り絵の背景にもっと奥行きと動きが欲しい」
ここ1年ぐらいだろうか、切り絵の背景をどうするか?ということで悩んできた。
今でも試行錯誤が続いているのだが、その悩みの経過を書いておこうと思う。
黒い紙で作った切り絵なら、背景は白にするのが定番です。なぜなら白にすると切り絵でできる陰影が映えるから。
それも美しいのだけれど、なにか物足りない・・・広告的なグラッフィクデザインのように見えて、下絵のときに抱いていた絵の世界観が表現しきれていない気がしてしょうがない。
う~~ん、では切り絵師がよくやるように切り絵に色紙を貼ってみるとどうか?
それも考えたことは何度もあるよ。でも、それをすると切り絵がより平面的になって2.5次元の味わいが薄まってしまうし、なによりも私の作品は細かいから色紙を貼り付けるところから無理があります。
でもこれも完全にやらないのではなくて、現在技法を思案中です。
背景に色を付けてみると…
それでは背景の白地を別の色でやってみようと、私の絵のモチーフが神仏ということもあり、金色や赤色に塗ってみた。
最初はパソコンの画像ソフトを使ってシミュレーションしたところ、なかなか良い感じだったので実際に木製パネルにスプレーで色を散布。
ちょっと浮かせた感じで切り絵を置いてみると、予想通りに良い感じでした。
これで悩み解決かと思いきや、そうはいかず、ますます悩みが深くなってきました。
「もっと良くなるはず」「背景に深みを出したい」・・・画家の性分なのでどんどんドツボにはまっていきました。
実験しては失敗の繰り返し
次に行ったのは、背景を均一に塗るのではなく、別の色を入れたりしてアクセントをつけてみたら奥行きがより演出できるのではないか?と考えました。
しかし、これは失敗。
独立した抽象画のような背景上に切り絵を置いたら、作品が全く浮き出てこないどころか、絵がぼやけてしまった。
背景を彫ってみる
その次は背景に使用しているのは木の板なので、そこに木版画のように単純なテクスチャーを彫刻刀で彫ってみました。
彫り上がったらスプレーで着色、その上に切り絵を置いてみると・・・う~~ん、微妙にぼやけてしまいます。
木を彫ったことで、それが線のように見えて、切り絵のシャープな線を相殺してしまっていたのです。
でも背景に彫りを加えるのは悪くない。これで深みが演出できているのは間違いないので、問題は着色にあると思いました。
そして、今現状の段階は背景に絵の世界観をバックアップするような単純なテクスチャーを浅めに彫って、基本的に白色を全面に塗ります。さらに端のほうに別の色を薄く散布して奥行きを出して、必要であればスポット的に色を差し込んでいきます。
これであれば、切り絵が引き立ち、絵の世界観がより深めることができます。
肝心なのは、切り絵の背景演出は「やりすぎないこと、淡白に徹する」ということです。