穏やかな仏の姿を切ったあとは、勇ましい仏の姿を切って見たいと思い、不動明王像を制作してみました。
漆黒の世界に浮かび上がる仏の姿。ちょっと怖い感じに見えますが、切り進むうちに印象が変わっていきます。その様子を見られるのは、神仏切り絵師の楽しみのひとつです。
剣を持つ腕の部分です。力強く、そして滑らかに。
体をほぼ切り終えたところで、次は周りの火焔を切っていきます。火焔のデザインはラフな下絵を描いただけで、本番は自分の指先の感覚で思いのままに切っていきます。下絵をきっちり描かないのは、火焔の勢いを大切にしたいからです。
あまり規則正しく火焔が並ばないように、ただし風の向きは想定しながら切ります。
まだ火焔の外枠を切り取っていないので、この段階では炎に見えにくいです。これから外枠を切り取って行くとその姿がだんだん顕になり、迫力が倍増します。
切り終えました。いちばんホッとする時間です。このあと日を置いて、細かい部分をチェックします。その時に追加で切る部分もあり、より精悍な仏が浮かび上がってきます。
赤く発光するライトボックスの上に切り絵を置くと、まさに火焔不動明王が出現したような強烈な印象になります。