熊野本宮大社はもう何度も来ています。大阪の阿倍野王子から徒歩で熊野古道をたどって来たこともあります。
まだ夜明け間もない早朝にテントを入れたバックバックを背負って山を下りてきたときは、清掃をしていた神職の方々がおはようと優しく声をかけてくれて、お参りさせていただけたことをよく覚えています。
今では世界遺産登録されて、大変有名な神社となりましたが、偉ぶることなく自然な優しさに包み込むように迎え入れてくれる、ここは全く変わっていないことに安心しました。
昔と変わらぬ姿と、変わってしまった人間
大きな鳥居に一礼をして、階段を上ります。階段の両側には奉納された立て札が並んでいます。
上った先に境内が広がります。拝殿に向かうと大きなマスクを付けられた狛犬が2体・・・・意図はわかるのだけれどここまで世俗的な慣習に便乗する必要もないでしょう。熊野本宮大社としてこれはアリなの?って苦笑するしかありません。
本殿へ向かいましょう。
力みなぎる神門をくぐると、檜皮葺の立派な社殿が姿をあらわします。
社を見ると、生きてこの場に立てていることの幸運に感謝したくなります。
昔から全く変わらぬ姿です。
向かって左手の社殿が夫須美大神(ふすみのおおかみ)・速玉大神(はやたまのおおかみ)の両神。中央は主神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)。そして右手は天照大神(あまてらすおおみかみ)が祀られています。
天照大神の社の隣には満山社という小さな社があります。
結びの神、祓いの神を祀るとされ、特に親子の縁にゆかりが深いようです。
現代は虐待や殺人など親子関係が歪んだ社会であるとも言えてとても悲しい事件事故が毎日のように起きています。
なぜ、そんなこと平気でできるの?と人間を疑いたくなるようなことも起きています。
私は他人であっても親子であっても、お互いを尊び敬う気持ち、授かった命を守り育てる気持ちが人間にとって最も大切な行いだと思っています。
そのことをここの神様に伝えて、私も微力ながら貢献することを誓いました。
杉の大木との不思議な縁で導かれた私
神殿が並ぶ境内の片隅に、なぜか大きな杉の1本に引き寄せられました。
何も考えずにそっと両手を添えてみたくなり、樹に触れた時に波長がぴったりと合ったような不思議な感覚を味わいました。
これまでも旅をしていると、たまにこんなふうに波長のあう樹と出会います。なぜ引き寄せられたのか?理由は全くわからないけど、これも縁と言うものだろうか。
本当にことを言えば今回の旅では熊野本宮大社には立ち寄らないつもりでした。でもなぜか立ち寄らなければいけない気がしたのは、この杉の大木に導かれたのでしょうか?
迎えてくれたことへ感謝の気持ちを伝えて、境内を出ました。
熊野の神々の雄大さを体感できる大斎原
せっかくだから旧社地である大斎原まで立ち寄ることにしました。
以前この地に立ったのはもう10年以上も前、そう世界遺産に登録される前で大鳥居も無かった。
私は徒歩で野営をしながら熊野古道を歩き続け、ここに到着したときには夜の8時を超え、辺りは真っ暗、もう体力も精根尽き果て、野営は禁止だったがこの大斎原の社叢で野営をしたことは懐かしい思い出。
2021年秋は観光客も少なく、境内はとても静かです。
今回は初めて熊野川の方まで歩いてみました。
ライブフェスも開かれるほどの広大な河原と、鮎釣り師が竿を出す熊野川の流れの風景にしばし見とれました。
熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)の概要
創建/伝・崇神天皇65年
主祭神/家都美御子大神・素戔嗚尊
所在地/和歌山県田辺市本宮町本宮1110
記事についてコメントしたい方は↓