これまで大きな作品に集中して作っていましたが、これからは30cm×30cmより小さいサイズの切り絵にも積極的に取り組んで行こうと思います。
「童神(わらべかみ)」というテーマだけが、ある日ふと頭にイメージされたことからこの作品制作がはじまりました。
それからもともと私は言魂切り絵というシリーズを展開していて、文字と絵を組み合わせた作品をそろそろ作りたいと思っていました。
童神とは?
童神とは文字通り子供のような姿をした神ですが、男女の性別はありません。少年のようでもあり少女のようでもある不思議な存在です。
日本昔ばなしには「座敷わらし」という子供の姿をした神様が居て、住み着いた家を豊かにして守るという言い伝えがあります。
なんだか可愛らしいお話ですが、その反面座敷わらしを粗末に扱うと不幸が訪れるという厳しい側面もあり、日頃私達が神様と対峙するときと同じような印象があります
。
そして宮崎駿監督アニメ「もののけ姫」では「木霊」という可愛い森の神々が登場します。あの姿や存在を私なりに座敷わらしと同じように童神であると考えて表現したいと思いました。
私たちのすぐ身近にいて親しみがあり、そして距離を保ちながら静かに私たちを見守っている、そんな神様を童の姿を描いてみたいのです。
八百万の神々は様々な姿をしています。一般的に神様と言えば威厳があり現世の人間には近寄りがたいもの、そんな印象が強い。だから力がありご利益に期待するとも言えますが。
現世の人間の姿として描くか? 想像の存在として自由に描くか? 動物を擬人化しようか? 試行錯誤しながらスケッチを描いているうちに、いき着いたのが人間の少年少女をモチーフにした中性的な姿です。観る人の中には性別が気になるかもしれませんが、そんな声は聞かないことにします。性別は関係なく、中性的な魅力を持った不思議な、そして幼さの中に威厳を秘めた存在。
そんな存在を描きたいのです。
幼い神様なので、まだ経験不足で修行中と言う印象も残したい。一生懸命に幸せを祈り、純真な心で私たちを見守っている、幸せ祈り身近な幸せを一緒になって考えてくれて、一緒に歩んでくれる存在として。
ことばの響きが持つ言魂をイメージに添えて
私は切り絵を始めた頃は名言や印象に残った言葉をテーマにして文字を主体にしてイメージを膨らませて描いていました。この童神は言魂切り絵として文字を添えるタイプで展開していくつもりです。
言葉に宿る童神の姿を描く。童神が伝えたい言葉を描く。一緒に祈りたい言葉を描きます。
「無念無想」に込めた祈りの気持ち
祈ることとは自分の魂を開放すること。
雑念や想念という衣を脱ぎ捨て、無我の境地に至ることで本来の自分自身の姿と対峙することで、周囲の物事にとらわれず、心が落ち着いた状態で穏やかに暮らすこと。
現代に生きる私達の身の回りは、しがらみだらけで誰もが認知を求め、関係性を維持するのに必死になっています。そんな暮らしを続けていて疲れませんか? 多様性は大切だけど多様性に振り回されて自分の立ち位置がわからなって魂が迷っていませんか?
「無念無想」の気持ちを大切にして、自分を解き放って楽になりましょう。