絵を描く作業をペンタブレットにして良かったこと
私が絵を学んでいた頃は、パソコンなんてまだなかったから、鉛筆と絵筆と絵の具、スケッチブックが描くために必須の道具でした。
今は切り絵を制作していますが、下絵の過程はパソコンで描いています。
利用しているソフトはセルシスさんのペイントスタジオで、絵筆の代わりにWACOM社のペンタブレットを使用しています。
ペンタブレットは液晶タイプではありません。
私は元々グラフィックデザイナーだったので、Adobe社のIllustratorというソフトに慣れていました。
最初はIllustratorをメインにして、ペイントスタジオを併用していました。なぜなら直感的に描くドローイングソフトになかなか慣れなかったせいです。
しかし、使っていくうちにソフトに慣れてきたこともあり、ペイントスタジオのみを使用するようになりました。
Illustratorは優れたソフトですが、直感的に描くと言うよりも頭の中で工程を計算して効率よく描くもので、やはりデザインに特化したソフトだと思い知りました。あとデーターが重くなってフリーズしやすくなるのも敬遠するようになった理由です。
Illustratorは優れたソフトですが、直感的に描くと言うよりも頭の中で工程を計算して効率よく描くもので、やはりデザインに特化したソフトだと思い知りました。あとデーターが重くなってフリーズしやすくなるのも敬遠するようになった理由です。
パソコンで下絵を描く時の良い点は、何度でも描き直しが簡単にできるということが大きいですが、それ以外にもあります。
紙の消費がかなり減った。
消しゴムのカスが出ないから作業台が汚れない。
部分的な拡大縮小やパーツの移動ができるので、モチーフのバランスやレイアウトに納得が行くまでこだわれる。
線の太さが自由に変えられる。
モチーフの変形やコピーができるから作業効率があがる。
、、、、、など、描くことに対する自由度がかなり高くなるということが言えます。
パソコンでペンタブレットを使って絵を描くことの欠点
●作品が完成しない
これは利点でもあるのですが、いちばん言えるのは自由度が高く、修正も効率よくできる分、こだわりすぎてしまうこと。作品に納得できるまでの終了点に、なかなかいかずに余計に時間をかけ過ぎてしまうことです。
締め切りのある制作物なら、踏ん切りはつくのですが、自主的な制作だと難しい。
●絵が細かくなり過ぎること
画面上でキャンバスの拡大縮小を繰り返しながら描いていると、実際の紙面の大きさを忘れてしまって、プリントした時にあまりの細さに自分で驚くことがあります。
切り絵の場合は下絵を元にナイフで切らなければならないので、自分の技量もあわせて細すぎるのも限度があります。
あぁやってしまった...と思った時、私はひとまず大きな紙面の作品として残しておいて、改めて実際のサイズ用に線を減らしたり、線を太くしたり、塗りつぶしの部分を増やしたりしながら調整をしながら描き直したものを改めて制作します。
こんな描き直しの場合でも、手描きだととても大変になりますが、パソコンを使うと大分楽にできてしまうのが良いです。
●制作途中でパソコンが壊れたり、データーファイルを誤って消去してしまう
絵に限らずパソコンで作業する時は、途中でマメに保存することが鉄則です。
機械なので突然壊れたり、エラーが出てフリーズしたり、停電で電源が落ちてしまったりする(夏場の雷は要注意)ことが必ずあります。
特に絵を描く作業は、パソコンに大きな負荷をかけることがあるので、何らかのエラーが突然起きるもんだと思った方がいい。
だからソフトの定期時間ごとの自動保存機能をオンに設定したり、一日の作業終わりには、名称変更したファイルのバックアップを別のディスクに保存するなどの対策をすることです。
●肩がこりやすくなり、視力が低下するかも
同じ姿勢で長時間画面を見続けていると、自分の身体に異変が生じてくることがあります。
私はそれを予防するために1時間ごとに短い休憩を入れて体をほぐしたり、画面から離れるようにしています。
そのおかげか、パソコンを使い始めて30年ぐらいになりますが、視力も落ちていないし、肩こりで悩んだことがありません。
かたこりに悩む知り合いの作業を見せてもらうと、目と画面の距離がとても近いことに驚きました。私は画面と顔の距離を最低でも1mは離しています。
近くを見たいなら、画面に顔を寄せるのではなく、画面を拡大すればいい。
絵描きもパソコンを上手に利用したほうがいい
デジタル機器を嫌う作家もいますが、これまでの手法を否定するつもりもないですし、基本は人間自身の手先の感覚が重要だと思っています。
でもパソコンと上手に付き合うことによって、創作の可能性が広がるならそれを利用したほうがいい。
私はもう50代という年齢になり、これまでのように先の長い人生を鑑みながら日々を送るというよりも、いつ最期が訪れるかもしれない、いつ訪れてもおかしくないという気持ちで日々を過ごすようになりました。
そうなると絵の制作においても「効率」ということを考えるようになります。一つでも作品を作り続けたいという思いから、パソコンを利用することで思案したり、描くことにかかる時間が少しでも短縮できるなら、これからももっと使っていこうと思います。