マティスとルオー友情50年の物語

僕とルオーとの出合いは、10代の思春期真っ只中の頃でした。

ルオーと言えば「黒の線」。
力強く太く黒い線で描かれた絵を見た時、とても印象に残り、その絵の魅力を語る言葉も持ち合わせなかった頃に、ただ幼い感受性でガッツリと受け止めたものです。

そのルオーの絵が見ることができるということで、今回の展覧会に行ってきました。

マティスとルオー展

目次

マティスとルオーの歴史を比較しながら…

表題にある通り、今回の展覧会はマティスとルオーの友情をテーマにしたものです。

僕にとってマティスと言えば、紙を貼り付けた即興絵画のイメージが強かったので、ルオーとどんなつながりがあるのか、絵の感じも全く違うから、どんな関係があるのか想像がつかなかった。

しかし、今回の展覧会でマティスとルオーの絵の歩みを知ることができたし、何よりも2人の絵の変遷を比較しながら見ることができるのが良かったと思います。

展示は4部構成になっており、それぞれの時代背景と2人の書簡も展示されているので、2人の会話を聞くような感じで見ることができます。

この時は、こんなやり取りがあったんだ、これは励みになる手紙だなぁと書簡を読みつつ、作品も見るとまた違った印象になります。

そして、2人がどんな時代に活動をしていたのか? 今まで画集などで見る絵にしか関心が無かったので、2人の生きた時代がナチス・ドイツ戦火の中であり、限られた自由の中で活動していたことや、厳しい社会情勢の中で描かれた絵の意味を知ることができました。

戦時中の2人の書簡を読むと、本当にリアルタイムにドキュメンタリー映画を見ているような気持ちになります。

マティスとルオー展

キリストと道化師

ルオーの絵と言えば、一番印象に残るのがイエス・キリストを描いた聖顔です。

今回の展覧会に展示されているルオーの絵を見て、ふと思ったことがあります。

実はルオーは、道化師の絵も多く描いていました。

道化師と言えば、どこか滑稽で劇場の盛り上げ役のような存在で、どちらかと言えば脇役的なもの。

ところがルオーの描いた道化師は、どこか凛々しくて、神聖なものを感じます。

それが聖顔とリンクして、ひょっとしてルオーにとってイエス・キリストは道化師であり、道化師はイエス・キリストであったのではないだろうか?

そんなふうに思ってしまいました。

道化師

イエス・キリスト

なぜ彼をそうさせたのか?

マティスの絵の変遷は、最後の切り紙絵に至るところで、なぜこうなったのか?と驚くばかりです。

その経緯は詳しく語られなかったからわからないのですが、絵画も突き詰めていくとこうなっちゃうのかなと思いました。

いったい彼に何があったのでしょうか? 謎です。また機会があれば調べてみたいと思います。

意外と人気があったマティスとルオー展

今回は2回、この展覧会に足を運んだのですが、どちらも会場内は盛況でした。

あべのハルカス美術館が百貨店の上にあるということと、あべのや天王寺という大阪の繁華街という立地もあると思いますが、それでも美術館に入る人がそこそこ多かったので、意外でした。

ルオーとマティスって、一般的にはあまり関心を持たれないというか、どちらかというと美術が本当に好きな人が観たいというものなのかなって思っていたので。

正直今回の展示内容は、日本各地で所蔵されている作品が大半を占めていたので、画集とかで見るような有名な絵は少なく、どちらかというと小粒な作品を集めたという印象が残ります。

それでも展示点数は多かったですが・・・。

そして、マティスの作品より、ルオーの作品が多いなと感じたのは、ルオーの絵が昔から日本人に好まれたということだろうか。

あべのハルカス美術館の印象

今回、ここの美術館にははじめて行ったのですが、意外とフロアが広くて、ゆったりと絵を鑑賞することができます。

百貨店の上にあるので、エスカレーターやエレベーターで各階を周りながら行くのは面倒くさいなぁと思っていましたが、ほぼ直通で行けるエレベーターがあったのがとても便利でした。

美術館を出ると、展望スペースがあって、そこから大阪市内を見下ろしながら、ゆっくりできるのもいいです。

美術鑑賞って、脳が結構疲労するので、リラックスできる空間があるのは嬉しいです。

今年はこの美術館でも、是非観たいと思う展覧会が目白押しなので楽しみです。

  • 開催期間/2017年 4月4日(火) ~ 5月28日(日)
  • 会場/あべのハルカス美術館
     大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F

あべのハルカス美術館

 

マティスとルオー展

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