この地域の観光名所は室生寺が有名で賑わいますが、室生寺よりも古い歴史を持つ龍穴神社は訪れる人も少なく静かな神域となっています(大昔は逆だったらしいが)。
高くそびえる石の鳥居を見上げると、厚い苔が着き、その上から何種類かの草が生えていました。こういうのを見ると、この場所には神が生きているなぁと嬉しくなります。
境内にはあちらこちらに杉の巨木が立ち並び、緑が濃い森と、龍穴神社はどこかしら原始的な空気を感じます。特に拝殿前の巨木は樹齢約600年の迫力です。
平安時代には朝廷から雨乞いの使者が遣わされたという龍神と水神を祀る神社
境内は広くはないものの、山の裾野にあるせいか背後の山の迫力を感じます。
この地域一帯は、古代から磐境(いわさか・神の鎮座する場所)とされ、厳粛な雰囲気が漂っています。
朱色の瑞垣(みずがき)内にある本殿は、17世紀に再建された記録があり、春日若宮社の旧社殿を移したと伝わっています。瑞垣の前には、小さな境内社の祠(道主貴社、手力男社)が祀られています。
入母屋造の拝殿は本殿より少し後、将軍徳川綱吉の生母、桂昌院の援助を受け、室生寺の般若堂を移築したとされています。
龍穴神社(りゅうけつじんじゃ)の概要
所在地/奈良県宇陀市室生1297
主祭神/
《主》高龗神(たかおかみのかみ)※雨を司る神
※善女(ぜんにょ)竜王という説もあり※雨乞いの神
《配》天児屋根命、大山祇命、水波能売命、須佐之男命、埴山姫命
由緒/主神高龗神は伊弉那岐大神其御子迦具土神を斬り給へる時生れませる神にして水火を司るの威徳を具へ給ひ晴雨を調節して国土民生を安んじ給ふ。
蓋し農を以て国の本とするが我国古来の伝統的民族信仰として旱天に慈雨を祈るの風潮野を挙げて後を断たざりし所以にして、木津川淀川の上流の当地に此大神の鎮まります事深く故なしとせず、随って古来暦朝、朝野の信仰篤く祈雨止雨の奉幣に預かり給ふこと度々にして神階は度々昇敍されて應和元年正四位下に敍せられ給ふ。
延喜の制貴船、丹生等の社と並びその神威嚇々たる官幣の小社に列せられ、所謂式内社として近畿一円に衆庶の信仰篤く以て今日に及べり。配祀の祭神は古来聚落の叢祀に奉斎せしを明治末期に合祀せり。