菅原神社(大阪府貝塚市)~カクレミノの巨木と苔の緑が美しい神域~

菅原神社(大阪府貝塚市)~カクレミノの巨木と苔の緑が美しい神域~

貝塚市葛城山の麓にある大川の集落を、秬谷川(きびたにがわ)に沿って上流へと向かっていくと、道が細くなって荒れてきました。こんな人が寄り付きそうにない奥に本当に神社があるのだろうか? と思っていたら左手に赤い鳥居が見えます。

ちょうど山に入る直前の森の中、あたりはしっとりと湿り気を帯び、地面は緑の苔に覆われています。
そこに菅原神社がありました。

目次

幻想の森にたたずむ菅原神社の社殿

厚い苔に覆われて、崩れかけた石の階段を上に朱色の鳥居が太陽の光に輝いてとても神々しい姿を見せています。
深い緑一色の中に、その姿を見ることでなんだかとても心が躍ります。

手前の木はこの神社の神木であるカクレミノ

鳥居から境内を見渡すと、地面も厚くコケで覆われていてとても幻想的です。苔を踏むのに少し躊躇しますが、ゆっくりと上ります。
その奥に社殿がありました。

この神社は菅原道真を祀っていますが、どうも巷によくある天神さんとは趣が全く異なります。「道真」を全く感じないと言った方がよいでしょうか。
もっと古くから神域として使われていたような場のエネルギーのようなものを感じます。

『和泉国庄名高寺社地并古城名所記』には、天文5年(1536年)に松浦肥前守守(まつらひぜんのかみまもる)が建立したと記されているそうですが、実際はこの集落の氏神様の神域として大切にされていた土地に、菅原道真を後から祀ったという感じではないでだろうか?

社殿にお参りする前に、両脇にある狛犬に挨拶をします。
ここの狛犬は、とてもユニークな表情をしていて、なんだか親しみが持てます。四角い石に刻んだだけのような素朴な造りです。

狛犬
狛犬
狛犬

社殿の御扉の前まで苔に覆われた石段を登ります。
小さなお賽銭箱にお金を入れて、小ぶりの鈴を鳴らし、静かに参拝をしました。この瞬間が神様にも自分にも神聖な気持ちで向き合うことができるので好きです。

境内の周りは、高く伸びる檜と杉の混合林。野鳥たちのさえずりを聴きながら境内にたたずんでいると、リラックスできてとても良い気持ちになります。

生命力あふれる御神木のようなカクレミノ

菅原神社には、カクレミノという初めて聞く樹木の巨木があります。
巨木といってもこの木の種類では大変珍しいという意味で、楠のようにとてつもなく幹が太いというわけではありません。

菅原神社のカクレミノ
菅原神社のカクレミノ
菅原神社のカクレミノ

カクレミノはウコギ科の広葉樹で、名前の由来は大きな葉がミノ(蓑)に似ているからです。

菅原神社の社殿が建つ基檀の前面北斜面に立つカクレミノは、樹高約14メートル、目通り幹周(地上から約 1.5メートル高の幹周)1.65メートルを測り、幹は北東方向へ約60度の傾斜をもって傾いて立っています。
樹形は、地上2.5メートルの所から本殿方向に長く伸びた大きな枝を中心に全体の枝張りも美しく、樹冠が境内を美しく覆っています。

内陸部の山地では非常に珍しく、しかも他に類を見ないほどカクレミノとしては巨木であり、学術上極めて貴重な樹木だといわれています。

このカクレミノの存在感が生命力に満ちていて、まるでこの巨木がご神体のように思えます。

カクレミノが参拝者を見守っているようでもあり、邪な心を持った参拝者を退けているようでもあり、優しい枝ぶりが静かに語りかけてくるようでもあり、とても不思議な気分になります。

社殿の西側には、小さな石の祠が3つ並んでいます。
そのうちの2つは中に丸い石の玉が入っていました。
これは一体なんだろうか?この石には何が宿ってているのだろうか?もしくはどんな神様の依代なのだろうか? 私にはさっぱりわからない、謎です。

菅原神社(すがわらじんじゃ)の概要

所在地/大阪府貝塚市大川
祭神/菅原道真

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