鵜の瀬は1250年以上受け継がれる伝統神事の起点
若狭神宮寺を訪れるなら「鵜ノ瀬」は外せない。名水百選(環境庁認定)に選ばれている鵜の瀬は、毎年3月2日に奈良東大寺二月堂への「お水送り」の送水神事が行われる所です。
その様子は鵜の瀬公園資料館にビデオが流れているので、見ることができます。
とても不思議な鵜の瀬伝説
毎年行われる「お水送りの送水神事」は、神宮寺から山伏姿の行者や白装束の僧侶らを先頭に3,000人程の松明行列が、ほら貝の音とともに2km上流の鵜の瀬へ向かい、河原で護摩が焚かれた後、白装束の住職が祝詞を読み上げ、竹筒からお香水を遠敷川へ注ぎます。
昔、若狭神宮寺に渡ってきたインド僧実忠は、その後東大寺に二月堂を建立し、大仏開眼の2ヶ月前から祈りの行法(修二会)を行いました。
初日に「新名帳」を読み上げて日本国中の神々を勧進したのですが、若狭の遠敷明神だけが漁に夢中になって遅れ、あと2日で終わるという日に現れました。
遠敷明神はそのお詫びとして、二月堂のご本尊にお供えする「閼伽水」(清浄聖水)を献じる約束をしました。そして地面を割ると白と黒の2羽の鵜が飛び出して穴から清水が湧き出したのです。
遠敷明神は若狭の「鵜の瀬」より、地下を潜って水を導かせたのです。
この湧き水を「若狭井」と名づけました。
その井戸より「閼伽水」を汲み上げ本尊にお供えする儀式が、神事「東大寺二月堂のお水取り」です。
若狭小浜の神宮寺では、1250年にわたって3月2日にお水送りの神事が執り行われています。
白石神社の苔むした境内で心を浄化する
鵜の瀬から南へ40mほど歩くと白石神社があります。薄暗く苔むした境内には椿の群生林で、周辺にパワーを感じるところです。
口伝によると樹齢1,000年以上たつという椿の老木があります。根廻り4.3m、目通り2.14m、高さ12.3m、地上2.2mのところで1.4mと1.55mの2本の大きな枝幹に分かれ四方に12mの枝張りを見せています。
椿ってここまで大きくなるのかと、ただ驚くばかりです。
花期には森を紅に彩り、その景観は人目を奪うばかりだという。
鵜の瀬の概要
住所/福井県小浜市下根来8-1-1
開館時間/9:00~17:00